研究課題
組織特異的にPIPK IIIを欠損するマウスを作製する目的で、exon5/exon6および、exon37を標的とする2種類のfloxマウスを作製した。その結果、exon37を標的とするfloxマウスを用いることで、効果的にPIPK III遺伝子欠損を誘導できることが明らかとなった。次に、消化管上皮におけるPIPK III遺伝子欠損を誘導するため、インターフェロンによりCreリコンビナーゼの発現を誘導可能なMxl-Creトランスジェニックマウス、および、消化管上皮で恒常的にCreリコンビナーゼを発現することができるVillin-Creトランスジェニックマウスと、PIPK III floxマウスの交配を行った。Mxl-Cre & PIPK III floxマウスでは、Creリコンビナーゼの発現誘導に伴い、肝臓でのPIPK III遺伝子欠損が確認できたが、消化管上皮でのPIPK III遺伝子欠損は不十分なものであった。一方、Villin-Creによる恒常的な遺伝子欠損では、消化管上皮での効果的なPIPK III遺伝子欠損を引き起こすことに成功した。このVillin-Cre & PIPK III floxマウスでは、体重の減少が認められ、寿命が短縮するという新たな知見が得られた。組織学的解析の結果、消化管上皮細胞において、顕著な空胞化(繊維芽細胞でのPIPK III遺伝子欠損によっても同様の空胞化が確認されている)が認められ、このため、消化管上皮細胞の機能不全により、栄養吸収障害が引き起こされているものと推測された。この空胞化の詳細な機構および、消化管上皮細胞の機能不全については、引き続き解析を進めている。
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