Aktは、細胞の増殖・生存・運動・極性・小胞輸送・グルコース代謝など、実に様々な過程において必須の役割を果たすキナーゼである。このような様々な機能を発揮する際、Aktは異なる基質をターゲットとしているが、それぞれのコンテクストにおいてAktがどのようにして必要な基質を選択しているのか、というメカニズムは不明であった。本研究では、我々が発見した新規スキャフォールド分子PAKがAktの基質特異性を制御することにより、Aktの細胞運動性/浸潤能に関わる機能を選択的に制御することを示した。多くの重要な機能を持つAktがコンテクストによりどのようにその機能の使い分けをしているのかは非常に興味深い問題であったが、本研究によってそのメカニズムの一端を明らかにすることが出来た。
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