研究課題
我々は血管内皮細胞特異的に遺伝子が発現するメカニズムを明らかにするため、Robo4遺伝子の発現制御機構の解析を行っている。これまでに、Robo4プロモーター中の-119 ETSサイトに転写因子GABPが結合し、転写を活性化することをゲルシフトアッセイ、クロマチン免疫沈降法、ルシフェラーゼアッセイ等の手法を用いて明らかにしてきた。今回我々は、このETSサイトがin vivoにおいてもRobo4の発現制御に重要な配列であることを、遺伝子改変マウスを用いて明らかにしようと考えた。まず、Robo4プロモーターのETSサイトに変異を加え、これにLacZ遺伝子を連結した。次に、このトランスジーン1コピーを相同組換え法を用いて、マウスES細胞のHprt遺伝子座上流に挿入し、得られたES細胞を用いてトランスジェニックマウスの作製を行った。このマウスと、以前に作成した天然型Robo4プロモーターを持つマウスにおける、LacZの発現を比較したところ、天然型のRobo4プロモーターを持つマウスでは、全ての臓器において血管内皮細胞特異的にLacZが発現しているのに対し、ETSサイトに変異を持つマウスでは、LacZの発現が大幅に減少していることが明らかとなった。また、マウスRobo4遺伝子をLacZに置換したノックインマウスと、このマウスのETSサイトに変異を加えたマウスを用いて同様の実験を行ったところ、血管内皮細胞特異的であったLacZの発現は、ETSサイトへの変異導入により大きく減少した。これらの結果から、Robo4プロモーターのETSサイトは、in vivoにおいても転写活性に重要性な配列であることが明らかとなった。本成果は、生理的条件下に最も近いプロモーター解析法を提唱するものであり、エピジェネティックな転写制御研究など、今後の転写研究の有用なツールとなると考えられる。
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http://www.phs.osaka-u.ac.jp/homepage/b018/