研究概要 |
Myeloid elf-1 like factor(MEF)は663アミノ酸からなるETS転写因子で,分化・免疫・癌制御の分野において重要な役割を果たしている.そこで,本研究では,MEFそれ自身の遺伝子発現制御機構のさらなる解明を究極の目的とし,近年その多様な標的遺伝子の転写調節により様々な生理機能の制御を行っていることが明らかになってきた転写因子p53によるMEF発現制御機構ならびに自然免疫系の制御機構の解明を種々の方法にて検討した.その結果,p53欠損ヒト細胞において,MEFの発現が有意に増加することが示された.一方,p53過剰発現と内因性p53活性化により低下していた.そこで,p53によるMEF遺伝子発現制御への影響をMEFプロモーター解析およびChIP assayを用いて詳細に検討した.その結果,MEFの新規転写因子としてE2F1を同定した.また,この時,癌抑制遺伝子p53はE2F1のMEFプロモーターへの結合を抑制することで,MEFの転写を負に制御することが明らかになった.以上,本研究は,p53とMEFの分子間には互いに抑制的に制御するフィードバック機構が存在することを初めて明らかにし,MEFが制御する種々の自然免疫応答反応においてp53が重要な役割を担う可能性を提唱している.
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