本研究ではインドール骨格を基本骨格とする7-hydroxymitragynine(7-OHMG)関連化合物の鎮痛活性の評価、副作用の検討、作用機序解析を行う。本研究プロジェクトは新規鎮痛薬の開発だけでなく、モルヒネをリード化合物とする薬物群の研究により進歩したオピオイド作用薬の作用機序に関して新たな知見を得ることを最終到達点として構想した。その研究成果の要点を以下の3点にまとめた。 (1) 7-OHMG関連化合物のオピオイド活性のスクリーニング 7-OHMG関連新規化合物についてモルモット回腸摘出標本を用いた電気刺激方法によりスクリーニングを行った結果モルヒネより強力な化合物を発見した。特にMGM-16はモルヒネより約45倍強力な活性を示した。 (2) MGM-16の鎮痛作用と作用機序解析 MGM-16の皮下、経口投与における鎮痛作用を検討した結果。MGM-16はモルヒネより約240倍強力な鎮痛作用を示し、これまで検討した7-OHMG関連化合物の中で最も強力な活性を有することが明らかとなった。さらに経口投与においても強力な作用が維持された。In vitro、in vivoの実験系による作用機序解析からMGM-16のオピオイド活性はμ、δ受容体を介したものであることがから明らかとなった。 (3) MGM-16の消化管運動抑制作用の検討 MGM-16の便秘作用の評価を行うため、MGM-9の消化管運動抑制作用について検討した結果、MGM-16はモルヒネと比して便秘の発現頻度の低い化合物であることが示唆された。
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