研究概要 |
これまで申請者はオキソカルベニウムイオンに対する極めて稀な求核剤のoutside attackを積極的に活用して、高立体選択的なβ-O-リボシル化反応を開発し、天然物合成に利用してきた。タンパク質間相互作用を阻害する小分子有機化合物の合成法を確立すべく、まず本年度は高立体選択的β-C-リボシル化反応の開発を行った。アリルトリメチルシランを求核剤、5-O-ベンジル-2, 3-O-ペンチリデン-D-リボシルフルオリドを糖供与体としたC-リボシル化反応を検討したところ、用いるルイス酸の種類によらず、β/α=>98/2で高立体選択にアリル-β-C-リボシド体が得られた。このことから本反応における立体選択性は、活性中間体であるオキソカルベニウムイオンに対する求核剤の面選択的な攻撃に大きく支配されることが示唆された。さらに求核剤として各種1, 2または3置換アリルトリメチルシランを用いた場合でも、良好な収率・立体選択性で対応するβ-C-リボシドを与えることがわかった。本反応は、向山アルドール型反応やシアノ化、Friedel-Crafts型反応にも適用でき、汎用性の高い直接的かつ高立体選択的なβ-C-リボシル化反応を開発することができた(Org.Lett, 2008, 10, 5107-5110.)。また得られたアリル-β-C-リボシドの5位にアリル基を導入後、閉環メタセシスを行うことで、オキサビシクロ[n.2.1]系化合物を得ることができ、タンパク質間相互作用を阻害する小分子有機化合物の合成を確立することができた。
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