[新規化合物評価系の構築]膜タンパク質をはじめとする難解析性タンパク質に結合するリガンドを簡便かつ効率的に探索するための生物活性評価系の確立を目的として、化合物のケモカイン受容体CXCR4への結合を非放射化学的な方法で高感度に行うシステムの構築を検討した。 まず、酸性アミノ酸からなるペプチドタグ、もしくは、塩基性アミノ酸からなるペプチドタグをそれぞれ受容体N末端側に有する細胞株を構築した。また、コントロールとなる受容体C末端側に蛍光タンパク質を融合した細胞株もあわせて調製した。一方、プローブとなる蛍光標識ペプチド(アゴニスト、アンタゴニスト、αヘリックスペプチド)を化学合成した。ルシフェラーゼ融合SDF-1は、大腸菌による発現を確認したが、発現効率が低く今後の改善に課題を残している。さらに、比較対照となる細胞内シグナル検出系、および、放射標識SDF-1による一般的な結合阻害活性の評価系もあわせて確立した。今後、これらの細胞株およびプローブ類の利用による評価系の構築および最適化を実施する。 [新規評価系の実用性検証のためのCXCR4拮抗剤の構造活性相関研究]新しい化合物評価系の実証研究として、CXCR4受容体によるリガンド分子認識様式の解明を指向したFC131からの非ペプチド誘導体の創製研究を行った。FC131のArg-ArgおよびArg-Nalジペプチド部位は、その活性発現に必要な官能基を提供するだけでなく、官能基の適当な配置を実現するための主鎖骨格のコンフォーメーションの調節に寄与している。これらのジペプチドに対応するアルケン型イソスターを化学合成し、FC131に導入した4種類の誘導体を合成した。今後、D-Tyr-Arg部位の構造活性相関に応用可能な新規イソスターの合成と応用を検討する。
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