研究課題
本研究では、炎症性希少疾病である潰瘍性大腸炎に有効な新規化合物の開発を、以下の8つのアプローチより展開した。1. 鎮痛効果と抗炎症作用を期待したsalazosulfapyridine(SASP)模倣分子の創製本アプローチは申請者らが見出したスルホンアミド構造を有するCOX-1選択的阻害化合物(A)をサラゾスルファピリジン(SASP)中のべンゼンスルホンアニリド部分(SP)と置き換える化合物創製を展開した。本化合物について、DSSを用いた潰瘍性大腸炎モデルにおける有効性を検討したものの、顕著な薬効は見られなかった。2. Salazosulfapyridine(SASP)をリードとした炎症関連分子阻害化合物の開発NF-κBは抗炎症薬の新たな分子標的として注目されている。そのような中、SASPにNF-κB阻害活性が報告されていることから、本アプローチではSASPをリードとした新規なNF-κB阻害化合物の開発を行った。具体的には、SASF中のアゾ結合のアミド結合への変換、スルファピリジン(SP)部分の他のベンゼンスルホンアニリド体および同様な立体構造を示すことが知られるN-メチルベンズアニリド体などへの変換を行った。3. 核内受容体リガンド創出によるアプローチ核内受容体の一つであるPPARγを活性化するPPARγアゴニストに潰瘍性大腸炎への有効性が報告されている。申請者らはこれまでにPPARγとヘテロダイマーを構築し相乗的にその活性を増強するレチノイドX受容体(RXR)およびレチノイン酸受容体(RAR)を標的とした種々のレチノイド分子を合成している。このような経験を踏まえて、新規な核内受容体を標的とする抗炎症化合物創出を行い、特許出願に至る化合物創出に至った。
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Bioorg Med Chem Lett.
ページ: 1001-1003