研究概要 |
meso-ジアミノピメリン酸(DAP)を含有するペプチドグリカンは細菌特有の構造であり, mrso-DAPを含有するペプチド類が制癌作用, 免役賦活剤などに多く見出されている. そこで, 各種官能基含有DAP合成を目指し, 新たな合成法に着手した. Garnerアルデヒド由来のビニル体とアリルグリシン類とのGrubbs触媒によるクロスメタセシス(CM)反応の検討を行った. CM反応の問題点はヘテロメタセシスとホモメタセシス(副反応)との競争反応になることから, 嵩高いGarnerアルデヒド由来のビニル体を5当量用い. さらに溶媒にトルエンを用いることで, 高収率でクロスカップリング体を得た. クロスカップリング体を酸化白金で還元し, 脱アセタール, TEMPO酸化によりカルボン酸として, 当研究室で開発した触媒的縮合剤BBDI(Tetrahedron Letr. 2006, 47, 3099-3102)を用いてエステル化を行い, アミノ基とカルボキシル基の保護基が全て違うorthogonally protected DAPを得た. さらに得られたDAP体をグルタミン酸の側鎖カルボン酸と縮合し, Nod(Nucleotide-binding oligomerization domain)1刺激活性を持つN-カプリロイルiE-DAPの合成に成功した.
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