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2008 年度 実績報告書

カドミウムの血管毒性防御の分子機構を担う転写因子Nrf2

研究課題

研究課題/領域番号 20790116
研究機関北陸大学

研究代表者

新開 泰弘  北陸大学, 薬学部, 研究員 (10454240)

キーワードカドミウム / 血管内皮細胞 / 転写因子Nrf2 / メタロチオネイン / 毒性防御
研究概要

環境汚染重金属であるカドミウムは、現在でも低レベルで環境中・食品中に存在し、長期にわたって曝露することにより、ヒトの健康を障害する可能性が指摘されている。しかし、カドミウム曝露に対する細胞応答・適応の分子機構には未だに不明な点が多い。本研究の目的は、Nrf2-Keap1システムがカドミウムの毒性防御機構において重要な役割を担っているという仮説に基づき、カドミウム曝露による血管内皮傷害に対する防御応答の分子機構を明らかにすることである。ウシ大動脈血管内皮細胞において、無毒性レベルのカドミウムの曝露により、濃度依存的に転写因子Nrf2の活性化が生じ核への蓄積が観察された。またそれに伴い、濃度依存的な抗酸化剤応答配列の転写活性化が見られた。またカドミウムの曝露により、Nrf2の下流のタンパク質としてヘムオキシゲナーゼ-1やNAD(P)H : キノン酸化還元酵素1、γ-グルタミルシステイン合成酵素などの抗酸化酵素群の発現誘導が観察された。そこで、RNA干渉によりNrf2をノックダウンしたところ、カドミウムの細胞毒性は有意に増強された。このとき、カドミウムによるNrf2の下流のタンパク質の発現誘導が減弱していたが、興味深いことにメタロチオネイン-I/II(MT-I/II)の発現誘導レベルも減少していた。また、Nrf2欠損細胞のモデルとしてNrf2遺伝子欠損マウスの初代肝細胞を用いて検討した結果、野生型に比べNrf2欠損細胞でカドミウムの細胞毒性は顕著に増強された。また同条件下において、細胞内カドミウム蓄積量に変化は見られず、カドミウムによるMT-I/IIの発現誘導がNrf2の欠損細胞において減弱していた。以上の結果より、転写因子Nrf2はカドミウムに対して、抗酸化酵素群だけでなくMT-I/IIの発現誘導を正に制御することにより毒性防御に働く細胞応答システムであることが示唆された。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Role of aquaporin 9 in cellular accumulation of arsenic and its cytotoxicity in primary mouse hepatocytes.2009

    • 著者名/発表者名
      Yasuhiro Shinkai
    • 雑誌名

      Toxicology and Applied Pharmacology (in press)

    • 査読あり
  • [学会発表] 鉛に曝露した血管内皮細胞におけるPERK経路を介したNrf2の活性化と毒性防御2009

    • 著者名/発表者名
      新開泰弘
    • 学会等名
      日本薬学会第129年会
    • 発表場所
      京都市国立京都国際会館
    • 年月日
      2009-03-26
  • [学会発表] 血管内皮細胞においてカドミウムの毒性に対する防御機構を担うNrf2/Keap1系2008

    • 著者名/発表者名
      新開泰弘
    • 学会等名
      フォーラム2008 : 衛生薬学・環境トキシコロジー
    • 発表場所
      熊本市熊本市民会館
    • 年月日
      2008-10-17
  • [学会発表] カドミウムに対する血管内皮細胞の防御応答を担うNrf2/Keap1システム2008

    • 著者名/発表者名
      新開泰弘
    • 学会等名
      第27回チョークトーク生体と金属・化学物質に関する研究会
    • 発表場所
      水俣市山海館
    • 年月日
      2008-08-23
  • [学会発表] カドミウムの毒性防御の細胞応答システムを担う転写因子Nrf22008

    • 著者名/発表者名
      新開泰弘
    • 学会等名
      第35回日本トキシコロジー学会学術年会
    • 発表場所
      東京国立オリンピック記念青少年記念センター
    • 年月日
      2008-06-26
  • [備考]

    • URL

      http://www.hokurikuu.ac.jp/frontier/index.html

  • [備考]

    • URL

      http://www.hokurikuu.ac.jp/yakugaku/kankyo2/

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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