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2009 年度 実績報告書

新規ペプチド性志賀毒素阻害薬の生体内作用機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20790118
研究機関同志社大学

研究代表者

高橋 美帆  同志社大学, 生命医科学部, 助教 (00446569)

キーワード感染症
研究概要

平成20年度において、まずウサギ腸管ループ実験を用いてStx毒性評価系を確立した。本系によりペプチド性Stx2阻害薬PPP-tetのStx2阻害効果の検討を行った結果、PPP-tetはStx2による腸管内の体液貯留、組織破壊を効率よく阻害することが示された。またウサギ摘出腸管片を用いて標識PPP-tetとStx2の局在性を観察したところ、PPP-tetはStx2の上皮細胞内への侵入は阻害せず、PPP-tetとStx2が複合体を形成し腸管上皮細胞内へ蓄積することが明らかとなった。
本実験により、個体レベルにおけるPPP-tetの作用部位は腸管であること、さらに標的細胞は腸管上皮細胞であるという重要な知見が得られた。
平成21年度は、主に標的細胞培養系の確立と、本細胞におけるPPP-tetとStx2の局在性について詳細な検討を行った。本実験ではヒト結腸細胞由来のCaco-2細胞を用いた。標識PPP-tetとStx2の細胞内局在性を共焦点レーザー顕微鏡により観察した結果、両者の局在性が非常に良く一致すること、このときStx2はゴルジマーカーであるGM130と共局在すること、しかしながらERマーカーのHSP47とは全く一致しないことが明らかとなった。これらのことから、PPP-tetはStx2と複合体を形成し細胞内に取りこまれること、その後Stx2はゴルジ体までは輸送されるものの小胞体への輸送が完全に阻害されること、すなわちPPP-tetのStx2毒性阻害メカニズムはStx2の細胞内輸送異常の誘導にあることが明らかとなった。また小胞体への輸送が阻害されたStx2はリソソームへ輸送され、リソソームにおいてStx2の分解が亢進し、その結果Stx2の毒性が抑制されるものと考えられた。
本研究の成果は、PPP-tetの臨床応用にむけて重要な情報を提供するものと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 産業財産権 (2件)

  • [雑誌論文] An orally applicable Shiga toxin neutralizer functions in the intestine to inhibit the intracellular transport of the toxin2010

    • 著者名/発表者名
      Watanabe-Takahashi M., Sato T., Dohi T., Noguchi N., Kano F., Murata M., Hamabata T., Natori Y., Nishikawa K.
    • 雑誌名

      Infection and Immunity 78

      ページ: 177-183

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Yip1A regulates the COPI-independent retrograde transport from the Golgi complex to the ER2009

    • 著者名/発表者名
      Kano F, Yamauchi S, Yoshida Y, Watanabe-Takahashi M, Nishikawa K, Nakamura N, Murata M.
    • 雑誌名

      Journal of Cell Science 122

      ページ: 2218-2227

    • 査読あり
  • [学会発表] 新規ペプチド性 Shiga toxin 阻害薬の生体内作用機構の解明2010

    • 著者名/発表者名
      高橋美帆、佐藤寿男、土肥多恵子、野口範子、加納ふみ、村田昌之、濱端崇、名取泰博、西川喜代孝
    • 学会等名
      第83回日本細菌学会総会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(神奈川)
    • 年月日
      20100328,20100329
  • [学会発表] 新規ペプチド性Stx阻害薬の生体内作用機構の解明2009

    • 著者名/発表者名
      高橋美帆、佐藤寿男、土肥多恵子、野口範子、加納ふみ、村田昌之、濱端崇、名取泰博、西川喜代孝
    • 学会等名
      第13回腸管出血性大腸菌感染症シンポジウム
    • 発表場所
      大阪府立大学りんくうキャンパス獣医学舎多目的ホール(大阪)
    • 年月日
      2009-10-16
  • [産業財産権] Stx毒性阻害ペプチドおよびStxに起因する疾患の治療薬2010

    • 発明者名
      西川喜代孝, 高橋美帆, 津々木一恵
    • 権利者名
      学校法人同志社
    • 産業財産権番号
      特許、特願2010-019728
    • 出願年月日
      2010-01-29
  • [産業財産権] ペプチドのスクリーニング法2010

    • 発明者名
      西川喜代孝, 高橋美帆, 加藤美帆子
    • 権利者名
      学校法人同志社
    • 産業財産権番号
      特許、特願2010-019731
    • 出願年月日
      2010-01-29

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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