研究課題
バイオエタノールから生産されるガソリン添加剤ETBEの免疫応答に与える影響について解析するために、ETBEのアジュバント作用について検討した。まず、種々の濃度のETBEと生理食塩水を混和し、腹腔内に投与することにより、マウスが耐えうるETBEの濃度について検討したところ、1%のETBEを含む生理食塩水500μ1の腹腔内投与はマウスに影響を及ぼさなかったものの、3%以上のETBEを含む生理食塩水500μlの投与によっては、マウスが死亡する場合があった。そこで次に、マウスに対して明らかな毒性を及ぼさない1%までの濃度のETBEにアジュバント作用があるか検討した。抗原である卵白アルブミンおよび0.1から1%のETBEを含む生理食塩水を単回腹腔内投与し、21日後、血清中の抗卵白アルブミンIgG量を測定した。しかし、卵白アルブミンのみを腹腔内投与したマウスの血清中の抗卵白アルブミンIgG量と、卵白アルブミンをETBEとともに腹腔内投与したマウスの血清中の抗卵白アルブミンIgG量には違いは認められなかつた。このことから、抗原と同時に単回曝露された場合、ETBEにはアジュバント作用は認められないことが明らかとなり、ETBEの急性曝露がヒトの免疫系に影響を与える可能性は低いと考えられた。しかし、ETBEの曝露はさまざまな経路を介する可能性が考えられるため、腹腔内単回投与とは異なる曝露条件での解析が必要と考えられる。そこで、今後は、ETBEの複数回投与、あるいは、腹腔内以外の経路(経口、経気道など)を介したETBEの投与がアジュバント作用を示すか検討する予定である。
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