研究課題
昨年度までの検討により、本研究室で樹立したMT+/+Cd耐性細胞においてZnT1の発現上昇が見られた。ZnT1は細胞外にZnを排泄する輸送体であるが、他の2価金属の排泄に関与しているかどうかは不明である。そこで、Cdの排泄にZnT1関与しているかどうか検討した。HEK293細胞およびHeLa細胞にZnT1遺伝子を導入し、Cd排泄に及ぼす影響を検討した結果、ZnT1を過剰発現してもCdの排泄は変化していなかった。しかし、この系でmRNAレベルではZnT1発現上昇を確認できたが、タンパクレベルではその発現上昇が確認できなかった。そのため、ZnT1高発現系を用いた実験はさらに検討が必要である。一方、Cdに対して高い感受性を示すRBL-2H3細胞からCd耐性細胞(RBL-Cdr)を樹立した。RBL-Cdr細胞はCdの取り込み効率が顕著に低下した細胞であった。この細胞においてもMT+/+Cd耐性細胞と同様にL-type Ca chamel (CaV1.2)の発現が顕著に低下していた。そこで親株にCaV1.2 siRNAを導入して発現抑制してCdの取り込み効率を調べたが、変化は観察されなかった。このようにZnT1, CaV1.2がCd輸送に関与するかどうか個別に検討を行ったが、ZnT1とCaV1.2などのCa chamelが相互に発現を調節しているかどうかまでは明らかにできなかった。しかし、ZnT1, CaV1.2のいずれもCd輸送に何らかの役割を果たすことが示唆された。今後さらにこれらの役割やクロストークについては検討する必要がある。
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