研究概要 |
本年度は臨床試験計画の倫理審査申請とモルヒネ、オキシコドンおよびフェンタニルの血中濃度測定の確立を行い、患者登録、薬物動態解析および患者情報の収集を開始した。臨床試験計画の倫理審査申請については、当施設の医学研究倫理委員会の承認を受けた。モルヒネ、オキシコドンおよびフェンタニルの血中濃度測定については、米国食品医薬品局の生体試料分析のガイダンスに準拠した簡便なHPLC-MS/MS法による測定法を確立し、がん患者へのモニタリングの適応性についても検証した。インフォームドコンセントの得られたがん性疼痛患者23名について、各オピオイド鎮痛薬の薬物動態解析を行った。登録されたがん性疼痛患者において、各オピオイド鎮痛薬の体内動態には個体間差が確認された。今後、それらの薬物動態の個体間差の要因を解明するために、目標症例数に到達するまで患者登録を継続する。患者情報の収集については、緩和ケアチームとの連携をとりながら、診療録や疼痛管理記録から情報を抽出し、疼痛管理状況と副作用発現状況についてのデータベースの作成を開始した。また、来年度に実施予定のCYP2D6(*2, *4, *5,* 10)、CYP3A5(*3)、UGT2B7(G-842A, *2)、MDR1(C1236T, G2677A/T, C3435T)、MRP2(C-24T, C-3972T, G1249A)、OPRM1(A118G, C17T)の遺伝子解析法を確立した。本年度では研究の実施体制が整い、来年度以降に目標症例数に到達できれば、オピオイド鎮痛薬の投与量換算ノモグラムの開発が実現可能である。
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