腎尿細管でのfolate(水溶性ビタミン)の再吸収の第一段階である細胞内取り込みにはfblate receptor(FR)が関与していることが知られている。Folateは、エンドサイトーシスによってリソソームに運ばれた後、リソソーム膜を介して細胞質へ輸送されると考えられているが、その輸送機構に関する情報は極めて乏しい。一方、破骨細胞の細胞形態的・機能的な特徴がリソソームと類似している点に着目すると、破骨細胞におけるfolate輸送機構の一部はリソソームにおける輸送系と同様であると推察されるため、リソソーム膜でのfolate輸送機構を把握することは、破骨細胞におけるfblate輸送機構の解明及びfolate拮抗薬を用いた薬物療法の最適化を推進するうえで有用であると考えられる。そこで、本研究では、ラット腎リソソームを用い、folate輸送について検討することにした。ラット腎リソソームにおけるfblateの輸送活性は、中性領域よりも酸性領域ではるかに高かった。また、酸性領域 (pH5.5)でのfolate輸送は、著しい濃度依(性(飽和性)及び温度依存性を示し、担体輸送の関与が強く示唆された。受動輸送及びリソソーム膜への結合とみられる非特異的な取り込みはわずかであった。担体輸送のMichaelis定数(Km)は0.073μMでありfblateに対する高い親和性が示唆された。また、folate誘導体が阻害活性を示し、本輸送系によって認識される可能性が示唆された一方、H^+/folate共輸送担体(proton coupled folate transporter、PCFT)に対して強い阻害活性を有するsulfasalazineが阻害効果を示さなかったことから、PCFTとは異なる未知のトランスポーターが関与しているものと考えられる。また、本輸送系は、酸性指向性である点等から、中性指向性である還元型fblate輸送担体(reduced folate carrier 1、RFCI)及びFRとは異なるものと考えられる。
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