fblate(水溶性ビタミン)は、folate receptor(FR)介在性のエンドサイトーシスによってエンドソームやリソソームなどの細胞内小胞器官に運ばれた後、小胞膜を介して細胞質へ輸送されると考えられているが、その輸送機構に関する情報は極めて乏しい。一方、破骨細胞の細胞形態的・機能的な特徴がリソソームと類似している点に着目すると、破骨細胞におけるfolate輸送機構の一部はリソソームにおける輸送系と同様であると推察されるため、リソソーム膜でのfolate輸送機構を把握することは、破骨細胞におけるfolate輸送機構の解明及びfolate拮抗薬を用いた薬物療法の最適化を推進するうえで有用であると考えられる。昨年度の研究において、ラット腎リソソームを用いてfolate輸送について検討した結果、酸性領域(pH5.5)を至適とする高親和性のfolate輸送活性を見出した。そこで本年度は、そのラット腎リソソームで認められたfolate輸送の詳細な輸送特性を明らかにすると共に、同様の輸送機構が破骨細胞系に存在するかどうかについて検討した。輸送解析の結果、本輸送系はfolate誘導体に対して極めて特異的であり、その親和性は、folate>tetetrahydrofolate(THF)>5-methyl-THF>5-formyl-THF>methotrexateの順に高いことが明らかとなった。さらにこのfolate輸送は、コハク酸、リンゴ酸や乳酸などの内因性カルボン酸類の共存下において活性化することが示された。また、破骨細胞の前駆体細胞であるRAW264細胞から調製したライソソーム膜においても類似の輸送特性を確認することができた。これらの輸送特性は、還元型folate輸送担体(RFC1)、FR及びH^+/folate共輸送担体(proton coupled folate transporter、PCFT)とは異なるため、ライソソーム膜におけるfolate輸送には未知のトランスポーターが関与していることが示された。
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