研究概要 |
rat ENT1およびENT2よりcRNAを作成し、アフリカツメガエル卵母細胞に発現させたのち、[^3H]adenosineおよび[^3H]uridineの取込み輸送特性の解析を行った。各基質の取込みはENT1,2発現細胞において顕著に高く、NBMPRは0.1μMおよび100μMでENT1,2をそれぞれほぼ完全に阻害した。[^3H]adenosine取込みの親和性はそれぞれ13.6μMおよび38.7μMと算出され、胎盤関門モデルTR-TBT細胞における高親和性輸送と一致していた。またこれらの特性はTR-TBT細胞と一致しており、TR-TBT細胞におけるENT1,2の機能的発現が示された。ENT1,2のin vivoラット胎盤での機能を評価するため、妊娠ラットに[^3H]adenosineおよび[^<14>C]mannitolを静脈内投与し、胎盤への取込みクリアランスをインテグレーションプロット法により解析した。[^3H]adenosineおよび[^<14>C]mannitolの取込みクリアランスはそれぞれ0.055、0.011mL/min/g placentaであり、adenosineの取込みクリアランスは顕著に高かった。したがってENT1,2の機能的関与が示唆されたが、ENT阻害剤であるNBMPRはin vivoにおいては毒性が強く用いることができないことが示され、胎盤におけるENT1,2の機能評価には、生理的発現量を維持した膜小胞系による解析が有用であると推察された。
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