Receptor for advanced glycation end products(RAGE)は、マクロファーシから分泌されるHMGB-1の受容体であり、HMGB-1-RAGEシグナルは関節リウマチの病態進展に関与することが知られている。本研究は、HMGB-1のおとり受容体として機能する可溶型RAGEの関節リウマチに対する治療効果を試験するとともに、骨輸送担体として機能する酸性オリゴペプチドを可溶型RAGEに結合させることで、その治療効果の増強を目指す。 可溶型RAGEおよびその酸性オリゴペプチド共役体を作製するため、可溶型RAGEのmRNAをヒト正常肺組織から抽出し、逆転写反応によりcDNAを得た。これを哺乳類細胞(CHO-K1細胞)でタンパク質として発現させるため、発現ベクターに組み込んだ。また、酸性オリゴペプチドとしてアスパラギン酸6コ、10コおよび14コのホモペブチドを用い、これらをコードするDNA配列を可溶型RAGEcDNAと連結させた。 発現ベクターに組み込まれたこれら4つのcDNAはCHO-K1細胞にトランスフェクションずることで、タンパク質として培養上清中に分泌されることが確認できた。培養上清中の可溶型RAGEとその酸性オリゴペプチド共役体は、Heparin-Sepharose、陰イオン交換樹脂、ゲルろ過の3ステップのクロマトグラフィーによつて単離・精製することができた。 当該年度の成果は、可溶型RAGEおよびその酸性オリゴペプチド共役体の作製を意味するものである。これにより、それら作製した化合物の薬理作用および関節リウマチ治療効果を詳細に検討することが可能になった。
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