前年度の成果によって得られた可溶型receptor for advanced glycation endproducts (esRAGE)および酸性オリゴペプチド共役esRAGE(AcOP-esRAGE)の薬理活性、体内動態、関節リウマチに対する治療効果を明らかにした。 esRAGEは、HMGB1のおとり受容体として機能するため関節リウマチ治療効果を発現すると考えられている。esRAEGはHMGB1によって誘導されるマウスマクロファージのTNFα産生量を1/2に減少させた。AcOP-esRAGEも同程度のTNFα産生抑制作用を示した。さらに、esRAGEおよびAcOP-esRAGEはいずれも同程度のHMGB1との結合親和性を有していたので、esRAGEにAcOPを共役してもおとり受容体としての機能を有していることが確認された。 esRAGEおよびAcOP-esRAGEの骨移行性を観察するため、蛍光標識したesRAGEおよびAcOP-esRAGEをマウスに静脈内投与し、骨組織切片を作製した後、蛍光顕微鏡で観察した。esRAGEは投与後24時間で骨への分布が最大に達し、1週間後では骨への残存が認められなかった。それに対し、AcOP-esRAGEは投与後24時間で最犬に達した後、1週間が軽過した後でも骨への残存が認められた。投与後いずれの時間においてもAcOP-esRAGEは、esRAGEと比べ骨への分布量が多かったことから、AcOP-esRAGEは骨への移行性・蓄積性の面においてesRAGEよりも優れていることが確認された。 関節リウマチモデルマウスに対するesRAGEおよびAcOP-esRAGEの治療効果は、モデルマウスの四肢指趾の発赤および腫脹をスコア化したclinical scoreを用いて評価した。esRAGEおよびAcOP-esRAGEを1週間に1回、1mg/kgの投与量で静脈内投与した結果、esRAGEはclinical scoreをわずかに減少させただけであるのに対し、AcOP-esRAGEはclinical scoreを1/3にまで減少させた。 上記の結果は、AcOP-esRAGEが高い骨への移行性・集積性を有した新規関節リウマチ治療薬となり得ることを強く示唆するものである。
|