20年度はこれまでに作成したVAMP7(Vesicular Associated Membrane Protein-7)欠失によるマクロファージ貪食能の影響について、おもにVAMP7欠失マウスより取得した腹腔マクロファージを用いてin vitroでの検討を行った。マクロファージに貪食させる異物として2種類の大腸菌BioParticle、酵母の膜に由来するZymosanを用い、プレートリーダーによる蛍光強度の測定や共焦点レーザー顕微鏡にてそれぞれの貪食効率を評価した。その結果、大腸菌BioParticleやZymosanではマクロファージにおける取り込み効率に、野生型マウス由来の細胞とVAMP7欠失マウス由来の細胞で優位な差を認めなかった。また貪食によって生じたPhagosomeとLysosomeの融合については、Zymosanを取り込んだマクロファージをLysosensorで標識して観察した。その結果野生型マウスとの間で優位な差は認められなかった。これらの結果から、VAMP7は大腸菌BioParticleやZymosanの取り込みおよびその処理には関係しないと推測された。このため今後はヒツジ赤血球を中心にVAMP7欠失マクロファージにおける貪食能について検討していく。 一方、マウスマラリアモデルを用いた個体レベルでの解析については、予備実験の段階で個体差が大きく結果が安定しなかった。これは遺伝的バックグラウンドの不均一さから生じたと思われ、C57BLとのバッククロスを継続して行っている。
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