足細胞podocyteは無脊椎動物から脊椎動物にいたる動物群(真体腔類)に広く存在し、原尿産生装置の主要部分を構成する。足細胞の基本構造は共通だが、動物の進化に伴い、形態や発現分子種に様々な修飾が加わる。このような修飾は、足細胞を大きな力学的負荷に適応させ、濾過量の増大を可能にするうえで重要な変化(高度化)である。ところが、過去の研究では足細胞の類似性ばかりが注目され、高度化に関してはそのほとんどが見過ごされてきた。このような状況の中、申請者らは、アクチン細胞骨格の高度化を脊椎動物の足細胞において初めて明らかにしてきた(Ichimura et al.2003 ; Ichimura et al.2007)。これを踏まえ、本研究では足細胞に起こったアクチン細胞骨格とその調節機構の進化過程を比較形態学的・分子細胞生物学的に解明し、原尿産生装置の進化を足細胞の観点から明らかにする。
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