脊椎動物うち哺乳類と鳥類では血圧が著しく、糸球体の内圧を高く維持できるため、極めて効率のよい糸球体濾過が行われている。しかし、「多濾過型」の糸球体を力学的負荷から保護するメカニズムは十分に分かっていない。液流のセンサーである一次線毛の形態を脊椎動物間で比較したところ、哺乳類と鳥類では糸球体構成細胞の一種(足細胞)において一次線毛が消失することが判明した。これらの動物において足細胞に一次線毛が存在した場合、湧き上がる原尿により一次線毛が絶えず揺り動かされ、細胞内にカルシウムイオンが過剰に流入し、細胞内シグナル伝達系が撹乱される恐れがある。したがって、多濾過型糸球体を持つ動物において足細胞から一次線毛が消失することは合理的な現象と言える。
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