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2010 年度 研究成果報告書

機械受容応答を介する血管内皮透過性調節機構の解明:m-カルパインの機能解析

研究課題

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研究課題/領域番号 20790178
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 生理学一般
研究機関昭和大学

研究代表者

宮崎 拓郎  昭和大学, 医学部, 助教 (80398693)

研究期間 (年度) 2008 – 2010
キーワード細胞運動 / 形態形成 / 細胞間相互作用
研究概要

目的-内皮細胞は血管の内腔に存在するため、血流に起因する機械的な刺激(シェアストレス)を直接受容する。これに伴い、血管内皮はバリア機能の変調などの細胞応答(いわゆる機械受容応答)を呈することが報告されている。しかしながら、機械受容応答のキーとなる分子は未だ明らかになっていない。本研究では機械受容応答調節因子の候補としてCa2+感受性の細胞内プロテアーゼであるカルパインに着目し、その役割について明らかにすることを目的とした。
結果および考察-マウス大動脈内膜におけるm-カルパインのmRNAおよびタンパク質発現を確認したところ、いずれも血流が乱流状態となる大動脈弓の下部において顕著であった。マウスにカルパイン阻害薬またはm-カルパインsiRNAを投与すると、大動脈弓でRhoキナーゼ阻害薬感受性の血管透過性亢進が認められ、亢進部位では内皮細胞間ギャップの肥大化、ストレスファイバーの過剰形成、リン酸化LIMキナーゼ2の発現増加ならびにRhoA活性の亢進が認められた。HUVECsに乱流状態でシェアストレスを負荷したところ、RhoA活性の亢進およびリン酸化LIMキナーゼ2の発現増加が認められたが、これらの応答はm-カルパインをノックダウンすることによりさらに増強された。
なお、脳血管炎に対するm-カルパインの関与を検証する目的で、マウス光化学刺激誘発中大脳動脈血栓モデルの作製にも着手した。このモデルを用いて既存の血栓溶解薬である組織型プラスミノゲンアクチベータの作用を確認できたことからモデル作製に成功したと考える。
結論↓m-カルパインはシェアストレス存在下の内皮細胞形態制御に重要な役割を担うことが明らかとなった。同時に、m-カルパインは大動脈弓下部などの動脈硬化好発部位においてRhoA活性の亢進に拮抗することで、血管内皮バリア機能を保護していることが明らかとなった。本研究の結果は、血流による血管透過性制御にm-カルパインが関与することを初めて証明した点で重要であり、この分子が動脈硬化症の発症や脳梗塞時の血管炎に対してどのような影響を及ぼすか、病態との関わりを今後検証していきたいと考える。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2011 2010 2009 2008 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Distinct effects of tissue-type plasminogen activator and SMTP-7 on cerebrovascular inflammation following thrombolytic reperfusion2011

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki T、Kimura Y、Ohata H、Hashimoto T、Shibata K、Hasumi K、Honda K
    • 雑誌名

      Stroke 42(4)

      ページ: 1097-1104

    • 査読あり
  • [雑誌論文] m-calpain antagonizes RhoA overactivation and endothelial barrier dysfunction under disturbed shear conditions2010

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki T、Honda K、Ohata H
    • 雑誌名

      Cardiovascular Research 85(3)

      ページ: 530-541

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shear stress-dependent effects of lysophosphatidic acid on agonist-induced vasomotor responses in rat mesenteric artery

    • 著者名/発表者名
      Shibata K、Miyazaki T、Ohata H、Honda K
    • 雑誌名

      Journal of Cardiovascular Pharmacology in press

    • 査読あり
  • [学会発表] DISTINCT EFFECTS OF TISSUE-TYPE PLASMINOGEN ACTIVATOR AND CPD-7 ON CEREBROVASCULAR INFLAMMATION DURING THROMBOLYSIS2010

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki T, Ohata H, Hasumi K, Honda K
    • 学会等名
      16th World Congress on Basic and Clinical Pharmacology
    • 年月日
      20100000
  • [学会発表] マウス光化学刺激中大脳動脈血栓モテルにおいて組織型フラスミノケンアクチヘータによる血栓溶解時に認められる脳血管炎2009

    • 著者名/発表者名
      宮崎拓郎、大幡久之、本田一男
    • 学会等名
      第83回日本薬理学会年会
    • 年月日
      20090000
  • [学会発表] マウス中大脳動脈血栓モデルにおける改変型組織プラスミノーゲン活性化薬により誘発される血栓溶解作用と虚血・再灌流障害の評価2009

    • 著者名/発表者名
      木下実季、山本翔子、宮崎拓郎、大幡久之、本田一男
    • 学会等名
      日本薬学会第130年会
    • 年月日
      20090000
  • [学会発表] マウス大動脈弓におけるm-カルパイン発現が血管内皮バリア機能に及ぼす影響2008

    • 著者名/発表者名
      宮崎拓郎、大幡久之、本田一男
    • 学会等名
      第119回日本薬理学会関東部会
    • 年月日
      20080000

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公開日: 2012-02-13   更新日: 2016-04-21  

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