研究課題
細胞は時々刻々と変化する環境に適応しながら生きるために、多様な刺激に対応して恒常性を保っている。本研究では、細胞の恒常性を保つための機構である細胞容積調節能を基盤にTRPチャネルの暴走による破綻が招く細胞死の研究を行った。Transient Receptor Potential(TRP)チャネルは、細胞外環境を感知するイオンチャネルであることから細胞容積調節能に深く関わっている候補として挙げられた。実際に生体内で起こりうる異常環境や刺激物質を用いるとTRPチャネルは異常活性化、不活性化、さらには遺伝子発現の変化を引き起こす。本研究においては、アンモニア血しょう時における細胞死機構とTRPチャネルの役割の解明を目的とした。まず、マウスから単離したグリア細胞よりアンモニア負荷によって増大するTRPM2の活性をパッチクランプ法で、mRNAの増大をリアルタイムPCRで、タンパク質の増大をウエスタンブロットで確認した。次に、TRPM2の活性化に関与するシグナルは、細胞内Ca2+、cAMP、活性酸素種といったセカンドメッセンジャー系を介すると今までの報告より、予想できたので各種蛍光プローブを用いたイメージングシステムを用いて行い、TRPM2活性を確認した。さらに、アンモニア負荷による細胞死は、前年度と同様、細胞容積測定、種々の細胞死検出法によりアポトーシス死、ネクローシス死であることを確認した。さらにノックアウトマウスを用いてコントロール同様の検討を行った結果、TRPM2がアンモニア血しょうに関与する可能性を示唆した。
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