1年度目は本研究計画に沿って、ENU誘発点突然変異マウスDNAアーカイブからSnkおよびDusp4遺伝子上の変異体スクリーニングを実施した。変異スクリーニング法にはTILLING法およびHRM法を使用した。Snk遺伝子の変異スクリーニング結果ではエクソン上に4つの塩基置換を発見し、そのうち1つはアミノ酸配列を変えないシノニマス変異であったが、3つはアミノ酸置換を生じるミスセンス変異(268番目のタイロシンがヒスチジン、309番目のアラニンがプロリン、323番目のアスパラギン酸がグルタミン酸)であった。この変異スクリーニング結果は2008年度日本分子生物学会年会にて発表を行った。このうち、生物種間のアミノ酸配列保存性から機能変化が期待される268番目のタイロシンがヒスチジンに変化した変異を有する変異マウスを作製し、野生型、変異型ヘテロ、変異型ホモの3遺伝型での概日リズムを測定した。測定の結果、野生型マウスと比較し、変異型ホモマウスは概日リズムは周期性、光同調機構共に異常は認められず、Snk遺伝子の268番目のタイロシンからのヒスチジンへの変異は概日リズムを調整する機構には影響を及ぼさない事が明らかとなった。Dups4遺伝子の変異スクリーニングは遺伝子全体の四分の二が終了した時点で、発見された変異は87番目のロイシンをグルタミンに置換する変異であった。現在、残りの変異スクリーニングの実施および、発見した87番目のロイシンをグルタミンに置換する変異が概日リズムに及ぼす影響を調べるため、in vitro系で野生型および変異型Dusp4タンパク質の活性測定準備を行っている。
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