・薬物効果のモデル化と抗心房細動薬像の推測 最終年度である平成21年度は、前年度での成果を利用して、本研究計画の最終目的である心房細動に有効な薬物像の予測を行った。昨年度までの成果で明らかになったTRPM4チャネルの心房細動での役割をモデルを用いることでさらに考察し、TRPM4の選択的阻害剤の心房細動に特化した抗不整脈薬としての可能性を考察した。本年度の研究では、ヒト心房筋細胞の実験結果をもとにして昨年度までに製作されたTRP4チャネルのカルシウム依存性と電流密度をより詳細に改良し、昨年度改良されたヒト心房筋細胞モデルに導入した。この導入により、カフェインを用いたTRPM4のカルシウム依存性の実験の再現を定量的に行うことができ、モデルの正確さを確認できた。さらに生理的条件下でTRPM4がDAD(遅延後脱分極)のような不整脈のトリガーとなる現象を引き起こすことをモデルにより確認をした。これらの研究により、TRPM4チャネルの選択的阻害剤が心房細動に特化した抗不整脈薬として、非常に高い可能性を持っていることが示唆された。
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