高コレステロール血症治療薬スタチンの骨格筋毒性の発症機序を調べた。(1)スタチンは小胞体-ゴルジ体輸送系の制御蛋白質Rab1Aを阻害した。小胞体-ゴルジ輸送阻害薬ブレフェルジンAで、スタチン同様に筋空胞化と細胞死を生じた。スタチンのRab1A阻害が筋空胞変性に関与すると考えられる。(2)スタチンによる筋力低下を調べた。スタチンによる、筋小胞体Ca2+貯蔵量と細胞内ATP低下が原因だった。低分子量G蛋白質不活性化の関与が示唆された。(3)スタチン筋毒性と筋の薬物トランスポーターの関連を調べた。筋には有機アニオン輸送体(Oatp)1a4/2b1が発現しており、これらが毒性に関与した。スタチンは、Oatpで筋に取込まれ、Rab1A等の低分子量G蛋白質を阻害し、筋空胞変性や筋力低下を招く。
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