平成21年度は「骨芽細胞分化を促進する微生物培養液のスクリーニング」「培養液のヒット検体からの活性化合物の単離・精製」「活性化合物の作用機序の解析」を行った。 スクリーニングでは、本年度も多分化能を持つマウス間葉系細胞株C3H10T1/2を用いた。骨芽細胞分化マーカーであるアルカリフォスファターゼ活性を指標とし、研究代表者の所属機関が所有する微生物培養液サンプルのうち約2万サンプルをスクリーニングした。昨年度と合わせて約3万5千サンプルのスクリーニングを完了し、複数のヒット検体を得ており、それらの精製を順次行った。 また本年度は、既に同定した2種類の活性化合物(新規物1種と既知物1種)の作用機序の解析も行った。新規化合物(Decalpenic acidと命名した)については、リアルタイムPCRによる骨芽細胞分化マーカー群の発現解析やレポーターアッセイ、そしてDNAマイクロアレイによる遺伝子変動の網羅的な解析を行い、本化合物の主な作用がレチノイド様活性であることを明らかにした。本化合物の単離、構造決定および作用機序解析の結果の詳細は日本薬学会第130回年会にてポスター発表し、論文も投稿準備中である。 既知化合物については、リアルタイムPCRによる骨芽細胞分化マーカー群やレチノイド標的遺伝子群の発現解析を行い、上記新規化合物とは異なる活性を持つことを明らかにした。また、複数の類縁化合物の活性を検討し、骨芽細胞分化誘導能を持たない類縁化合物を見いだした。今後これらの類縁体も含めて活性を検討し、本化合物の作用機序の解析を進めて行く予定である。
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