Nuclear dbf2-related(NDR)キナーゼは酵母からヒトまで高度に保存されているSerine/Threonine(Ser/Thr)キナーゼであり、哺乳動物に存在する4個のメンバーはNDR1/2とlarge tumor suppressor(LATS)1/2の2つのグループに大別される。このNDRキナーゼは細胞増殖の制御や細胞死の誘導、形態変化の誘導などに関わる重要な機能を担っている。NDRキナーゼの活性化にはキナーゼであるMST1/2とアダプター分子であるMOB1が関与する。私たちはMOB1がMST1/2によりリン酸化を受けること、このリン酸化がNDRキナーゼの活性化に重要であること、MOB1のThr74の変異がNDR1の活性化を抑制することを報告している。 本年度は、リン酸化特異的な抗体を用いてMOB1上のThr74がMST2により直接リン酸化されること、またThr74がMOB1とNDRキナーゼの結合に重要な部位であることを明らかにした。またリン酸化されたMOB1がMsT1/2キナーゼによりリン酸化されたNDR1キナーゼとLATS2キナーゼの活性化を直接増強していることを見出した。また、MST2に細胞死に関わるRASSF6が結合し、MST1/2を介するNDRキナーゼの活性化を抑制することを報告した。
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