研究課題
昨年度の研究結果からアデノウイルスで1因子を導入し、ほかの3因子をレトロウイルスでマウス線維芽細胞に導入することでiPS細胞を樹立することに成功した。しかしながら、Oct3/4をアデノウイルスで導入しほかの因子をレトロウイルスで導入してもiPS細胞を樹立できなかった。このことはOct3/4の安定した発現がiPS細胞誘導に重要であることを示唆するものと考えた。次にiPS細胞樹立の元細胞としてマウス初代培養の肝細胞を用いた。肝細胞は線維芽細胞に比べて少ない量のレトロウイルスでiPS細胞が樹立できることからアデノウイルスを用いた場合にも有効であると考えた。肝細胞を用いた場合も線維芽細胞の時と同様にOct3/4をアデノウイルスで導入した場合はiPS細胞の樹立ができなかったことから、iPS細胞誘導時のOct3/4の発現レベルは非常に厳密に制御されていることが示唆された。アデノウイルスによる遺伝子導入後、短期間で目的遺伝子の高発現が確認できた。しかし、1週間後にはかなりの現象が認められた。レトロウイルスでは2,3日後に発現が上昇してその発現はほぼ一定のまま維持された。この問題を解決するには、アデノウイルスの感染量や時間、回数をいろいろ検討し最適な条件を見つけることが必要である。また、アデノウイルスを用いた場合に少なからず細胞に対して毒性が認められたためこの点も検討が必要である。より毒性の低いベクターを構築するなどしてよりiPS細胞誘導に適したウイルスの作製を目指す。
すべて 2010 2009 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) 備考 (1件) 産業財産権 (3件) (うち外国 3件)
Molecular Therapy 18
ページ: 386-393
Genes Cells 14
ページ: 1395-1404
Nature Biotechnology 27
ページ: 743-745
Journal of Cellular Physiology 221
ページ: 367-377
ゲノム医学 9
ページ: 167-170
Nature 460
ページ: 1132-1135
ページ: 683-694
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/index.html