研究概要 |
ラット小腸の脂質をBLT2活性化能を指標にBLT2活性化画分を精製し、質量分析計を用いた構造決定を行った結果、12-ヒドロキシ-ヘプタデカエノイック酸(12-HHT)を高親和性のBLT2リガンドとして同定した。BLT2発現細胞を用いて12-HHTによる細胞内シグナル活性化を検討したところ、リガンド結合、GTPgS取り込み、細胞内カルシウム上昇、cAMP産生阻害、イノシトールリン酸の蓄積、細胞走化性実験のいずれにおいても、LTB4よりも1桁以上低い濃度でBLT2を活性化した。さらにBLT2がマウス骨髄由来マスト細胞(BMMC)に発現し、12-HHT刺激により走化性を引き起こすこと、BLT2欠損マウス由来のBMMCでは走化性が消失することを明らかにした(Okuno, JEM, 2008)。 G蛋白質共役型受容体(GPCR)には、細胞内C末端にヘリックス8と称されるドメインが存在する。過去にBLT1のヘリックス8が受容体活性化後の受容体構造変化に必須であることを明らかにし、報告した(Okuno, JBC2003, 2005)。今回、BLT2のヘリックス8の機能を明らかにするために、BLT2ヘリックス8変異体を解析した結果、BLT2のヘリックス8が小胞体において新たに合成された受容体が正常なフォールデングを形成するのに必須のドメインであることを明らかにした(Yasuda, Okuno, FASEBJournal)。
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