転写因子Nuclear factor-κB(NF-κB)は、炎症や免疫反応をはじめとする様々な生命現象の調節に関与する重要な転写因子である。その活性制御は、主に阻害タンパクである1κBとNFκB結合タンパクにより担われている。この活性制御システムをさらに解明するために、NFκBのサブユニットの一つであるp65をbaitに用いたyeast two hybridを施行し、新規NFκB結合タンパクとしてFKBP4を同定した。FKBP4は、免疫抑制剤FK506に結合するタンパクとして同定され、主に細胞内輸送に関与することが示唆されている分子である。まず、実際にFKBP4とp65が細胞内で結合しているかどうか確認するためにIP-Western法を行ったところ、両者は細胞内にて結合していることが明らかになった。次に、FKBP4がNFκBの転写活性化にどのように影響しているか、κB配列をレポーターとしたルシフェラーゼアッセイを行い検討した。その結果、FKBP4はNFκBの活性を正に制御しており、FKBP4の変異体を用いた実験からその効果にはN末が重要であることが明らかになった。また、FKBP4のNFκB転写活性化増強効果には分子シャペロンであるHsp90が必要であることが明らかになった。現在、さらに解析を進めている。 また、NFκB阻害剤についても検討を加えており、新規NFκB阻害剤としてnoraristeromycinを発見し、その作用機序がIKKα阻害によるものであることを報告した。
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