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2009 年度 実績報告書

転写因子NFκBの活性制御機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 20790234
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

朝光 かおり  名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 助教 (20381783)

キーワードNF-κB / 発現制御 / 転写
研究概要

転写因子Nuclear Factor-κB(NF-κB)は、多彩な標的遺伝子を持ち、その発現制御を通じて炎症や免疫反応など様々な生命現象の調節に関与する重要な転写因子である。またその活性調節異常が、がんやリウマチをはじめとする自己免疫疾患の形成に至ることが示されており、この活性制御機構の解明が望まれている。そこで、我々はNF-κB活性調節機構の新規メカニズムを同定するために、NF-κBサブユニットの一つであるp65をもとに酵母2ハイブリット法を施行し、新規相互作用分子としてFKBP4を同定した。FKBP4は免疫抑制剤FK506と結合するタンパクとして同定された分子であり、細胞内輸送を介してステロイドレセプターなどの転写因子の活性制御に関与することが示唆されている。p65とFKBP4の結合をIP-ウェスタンで確認したところ、両者は細胞内で結合することが明らかになった。FKBP4のNFκB制御機構に関する役割についてルシフェラーゼアッセイを行い検討したところ、FKBP4はp65の転写活性を正に制御した。
FKBP4の変異体を作成し検討したところ、N末を欠いたC末によりp65の転写活性は劇的に抑制されることが明らかになった。C末はHsp90と結合することが報告されていることから、p65の活性制御にHsp90が関与することが考えられたため、Hsp90発現ベクターを作成し検討を行ったところHsp90はp65の活性を正に制御することが明らかになった。なお、コントロールとして用いたp53の転写活性制御には、Hsp90は特に影響を示さなかった。また、FKBP4と高いホモロジーをもつFKBF5がp65の転写活性化にどのような影響を及ぼすか検討を加えたところ、FKBP4と同様転写活性を正に制御するが、その作用形式は若干異なることが予測された。FKBP5がNFκBの阻害タンパクであるIκBをリン酸化するIKK複合体に含まれていることから、今後この解析を慎重に進める必要がある。p65の転写活性制御にFKBP4とHsp90が関与するというNFκBの新たな活性制御システムが示され、この制御機構は特にがん治療の開発に有効となることが期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Inhibition of inflammatory cytokine production from rheumatoid synovial fibroblasts by a novel IkappaB kinase inhibitor.2010

    • 著者名/発表者名
      Tsuchiya A, Imai K, Asamitsu K, Waguri-Nagaya Y, Otsuka T, Okamoto T.
    • 雑誌名

      J Pharmacol Exp Ther. 333

      ページ: 236-243

    • 査読あり
  • [学会発表] Identification of an active ingredient on Inula helenium extracts for NF-κB inhibition2009

    • 著者名/発表者名
      Asamitsu, et al
    • 学会等名
      第32回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      パシフィコ横浜(横浜市)
    • 年月日
      2009-12-09

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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