研究課題
BBRC(Volume 369, Issue 3, 9 May 2008, Pages 801-806)において、(1)マーモセットES細胞の心筋細胞分化誘導とその証明。(2)マーモセットES細胞由来心筋細胞の詳細な性質を解明し、記載した。この論文は、マーモセット胚性幹細胞が、心筋細胞に分化し得ることを世界で初めて示したものである。さらに、胚性幹細胞から心筋細胞が分化する過程における様々な遺伝子の発現強度及び時期を特定することにより、心筋細胞の分化過程を示した。得られた心筋細胞の電気的活動を微小電極法により示した。また、心筋細胞へ分化完了後の増殖性に関する詳細な解析を行った結果、マーモセットでは、マウス胚性幹細胞由来の心筋細胞に比べて、非常に長い期間増殖が可能である事を示した。これは、生物種の胎仔期間を反映した結果であると考えられた。さらに、論文に掲載していない研究として、心筋細胞の表面電位をMEA法において解析した。この結果、マーモセット胚性幹細胞由来心筋細胞は、ヒト胚性幹細胞由来心筋細胞と非常に類似した性質を有する事が確認された。さらに、マーモセット胚性幹細胞由来心筋細胞を精製し、心筋細胞シートの作製を行った。このシートはディッシュから剥離すると自律的に収縮弛緩を繰り返した。これを免疫不全マウスの心臓表面に移植した。移植心筋細胞は、良好に生着した。また、成体マーモセット心臓に対してマーモセット胚性幹細胞由来心筋細胞を免疫抑制下で移植したところ、1週間後には良好な生着を示した。これらの結果は、胚性幹細胞由来心筋細胞を用いた心臓再生医療の実現に向けた基礎実験として非常に有意義である。
すべて 2008
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Biochemical and Biophysical Research Communications 369
ページ: 801