研究課題
初代培養軟骨細胞では、細胞成熟度にかかわらず各時計遺伝子のmRNA発現が認められた。また、Per1を軟骨細胞株であるATDC5細胞に安定発現させたところ、Alcian Blueの染色性の有意な低下とともに、軟骨細胞分化マーカーであるII型およびX型コラーゲンmRNAの有意な発現低下が観察された。Per1安定発現細胞ではSox6 mRNA発現が低下していることに加え、ATDC5細胞を培養すると14日目まで経時的にIhh mRNA発現が上昇するのに対して、Per1安定発現細胞ではこのようなIhh mRNA発現上昇は観察されなかった。このことから、Per1が軟骨細胞の分化過程に対して抑制的に作用するがIhhやSox6遺伝子を介している可能性が示唆された。続いて、ATDC5細胞にBmal1とClock両時計遺伝子を一過性に強制発現させたところ、Ihh mRNA発現の著明な上昇が招来されたが、このときさらにPer1遺伝子を共発現させると、Bmal1とClockによるIhh mRNA発現上昇は消失した。また同様に、Bmal1とClock両遺伝子の強制発現によって上昇したIhhのプロモーター活性は、Per1遺伝子の導入により有意に抑制された。さらに、ChIPassayを行ったところ、Ihhプロモーター上のE-boxにCLOCKタンパクが結合する可能性が示された。時計遺伝子によるIhh発現制御が示唆されたので、マウス肋軟骨における遺伝子発現振動を解析したところ、Per1、Bmal1およびIhhにリズム性の発現変動が観察された。本研究結果より、軟骨組織においては、PTH誘導性の時計遺伝子Per1によって細胞の分化過程が制御されるが、これは軟骨分化調節能を有するサイトカインであるIhhの発現調節を介している可能性が示唆される。
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