1 オーロラによるヌクレオフォスミンのリン酸化部位を検討した。ヌクレオフォスミンを3つの断片に分割し、それぞれ大腸菌より精製し、試験管内においてオーロラBによるリン酸化反応をおこなった。その結果、すでに同定した293番目のセリン残基の他に、143番目のセリン残基が弱いながらもリン酸化を受けることが明らかとなった。そこで、143番目のセリン残基のリン酸化ペプチドを合成し、特異的リン酸化抗体の作製を試みた。6匹のマウスに免疫をおこなったが、抗体の力価は上昇が認められたものの、オーロラが活性化する分裂期に同調培養した細胞抽出液には反応が見られなかった。この結果から、143番目のセリン残基のリン酸化は試験管内反応におけるアーチファクトであることが示唆された。したがって、現在までに明らかになっているヌクレオフォスミンのアーロラによるリン酸化部位は293番目のセリン残基のみである。 2 そこで、293番目のセリン残基のリン酸化がヌクレオフォスミンの機能に及ぼす効果を検討した。293番目のセリン残基に点変異を導入したヌクレオフォスミンを用いた結果、293番目のリン酸化は、ヌクレオフォスミンのオリゴマー形成能および細胞内局在には影響を及ぼさないことが明らかとなった。
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