BMPは骨形成・骨芽細胞分化に重要なサイトカインであり、骨基質に豊富に貯蔵されている。BAMBIは、TGF-β/BMP type I受容体類似の膜貫通型の糖蛋白であり、BMPやTGF-βの偽受容体として機能することが知られている。すなわちBAMBIはTGF-β/BMPシグナリングのおとり受容体であり、negative feedback loopを形成することが想定される。 今年度にかけて前立腺癌癌化過程におけるBAMBIの役割を臨床病理学的に解析した。ヒトBAMBI蛋白に対する抗体に関しては、細胞外ドメインをターゲットとしたマウスポリクローナル抗体を作製し、その特異性はWestern blotを用いて確認した。その上で前立腺癌臨床検体にて予備実験としてBAMBIの発現を検索した。 RANK-RANKLシグナル系のおとり受容体として機能するOPGのプロモータ領域の解析については、さきに作製したマウスOPGプロモータコンストラクト(Kondo et al. J Bone Miner Res 2004)を愛媛大学大学院医学系研究科の今村健志先生に供与し、BMP2の新規骨吸収制御機構についての共同研究を進めており、現在論文投稿中である。なお、現在得られた成果については論文にまとめると共に更なる実験の計画を行なっている。また、BAMBIを含むTGF β signalingに関する総説は共同研究者のDr. SandaがCancers誌に投稿し、受理された(論文業績2)。
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