研究概要 |
2003〜08年の当院前立腺癌手術症例198例(45〜75歳、65.2±5.7歳(average±SD))のhidex cancerを対象として検討したところ、RPZ : 69例, LPZ : 63例, RTZ : 43例, LTZ : 22例(1例は全域)であり、それらのGleason Score(GS)はRPZ : 72±0.9, LPZ : 7.1±1.0, RTZ : 6.7±1.0, LTZ : 6.9±0.8で、(1)RPZ cancerがRTZ cancerよりも有意にGSが高いことが判明した(p=0.015)。また(2)LPZ・RTZ cancer間でも有意な傾向がみられた(p=0.547)。(3)実質をapexmid/baseと3域に分けたところ、GS・3域内での分布数・最大割面径の各々の間で有意な相関があった。(4)TNM分類に関連する被膜外浸潤あるいは精嚢浸潤を示す例をhigh rbk群、脈管侵襲等の本邦前立腺癌取扱い規約のその他の因子がみられる群をmtemediate risk群、それらのいずれもない群をlow risk群と分類すると、各々の群間でGSに有意な差がみられた(low : 6.4±0.9, mtermediate : 6.8±0.8, high : 7.6±0.9)。以上のように前立腺癌の解剖学的発生部位に着目した論文はいまだ少ない。さらにはヒト前立腺癌の反応性間質との関連を調べた研究報告は皆無で、(5)我々の予備的検索では、反応性間質形成はTZ cancerよりもPZ canoerのほうがより高頻度かつ程度が高度であった。現在、その他の因子の解析及び分子病理学的検索を行っている。
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