研究概要 |
2003~09年の当院前立腺癌手術症例226例(45~75歳、65.0±5.7歳(average±SD))のindex cancer(IC)を対象として検討したところ、その主な占拠部位はPZ:147例(65%)、TZ:78例(34%)、CZ:1例(0.4%)で、Apex:128例(57%)、Mid:86例(38%)、Base:12例(5%)であった。Gleason Score (GS)は3+4が81例(36%)、4+3:49例(22%)とGS=7が約6割を占めた。癌反応性間質量(Reactive Stromal Grade, RSG)を0~3と4段階に分類したところ、(1)RSGO:22例(10%)、1:107例(47%)、2:81例(36%)、3:16例(7%)となり、この比率は我々の別症例群の針生検を対象とした結果とほぼ一致した(Yanagisawa N. et al., Hum. Pathol.,2008)。(2)ICは2nd cancer(200例)と比較すると有意にRSGが高値であった(p=0.0006)。(3)PZ cancerはTZ cancerよりも、また(4)Apex cancerはBase cancerよりも各々有意にRSGが高値であった (p=0.0016,0.0399)。 以上のように前立腺癌の解剖学的発生部位に着目した論文はいまだ少ない。さらにはヒト前立腺癌の反応性間質との関連を調べた研究報告は皆無である。現在、分子病理学的解析をすすめている。
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