研究概要 |
Tremファミリーは、細胞質外領域に一つのイムノグロブリン様ドメインを持つtype I受容体の一種で、免疫細胞の活性化状態を制御することが示唆されている。これまで、マウス樹状細胞サブセット間のmicroarray analysisを行い、マウスCD8陽性樹状細胞サブセットに多く発現している新規Trem様分子(Treml4)を同定し、さらに、そのsoluble formが死細胞に結合することを見出してきた。本年度は、その機能を検討する目的で、この分子についての発現変化を解析し、また、soluble formを用いて解析を進めた。この分子は、脾臓CD8陽性樹状細胞に強く発現が認められるが、この樹状細胞を活性化させてその発現を検討したところ、樹状細胞の活性化状態による発現の変化は認められなかった。また、他のTremファミリー分子が死細胞への結合能を示すか検討したところ、Trem2のみが死細胞へ結合した。さらには、大腸菌・ブドウ球菌・酵母への結合を検討したところ、Trem2は大腸菌・ブドウ球菌への結合が認められたのに対し、少なくともその表面への結合は認められなかった(以上、Journal of Immnology 182 : 1278, 2009にて発表)。また、当該分子を発現している樹状細胞・マクロファージと同じ細胞系譜に属する破骨細胞についても検討したが、Trem2の強い発現は認められたが、Trem14の発現は非常に弱いものであった。これらのことより、新規Trem分子は同様に死細胞への結合能を示すTrem2とその発現パターンやリガンドの分布などに差違があるごとが示唆された。
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