Tremファミリーは、細胞質外領域に一つのイムノグロブリン様ドメインを持つtype I受容体の一種で、免疫細胞の活性化状態を制御することが示唆されている。これまで、マウス樹状細胞サブセット間のmicroarray analysisを行い、マウスCD8陽性樹状細胞サブセットに多く発現している新規Trem様分子(Trem14)を同定し、さらに、そのsoluble formが死細胞に結合することを見出してきた。本年度は、遺伝子欠損マウスの解析を中心に行った。apoptotic cellsを蛍光ラベルし、野生型(WT)または遺伝子欠損(KO)マウスにivを行い、その後の樹状細胞による取り込みをFACSまたは組織切片を作成し解析を行った。その結果、KOでの取り込みはWTのそれと同様に認められ、Trem14を欠損させた場合でも死細胞の取り込みには異常がないことが示唆された。次に、他のTremファミリー分子やアダプター分子DAP12がLPSによるショックに対して正にまたは負に関与することが報告されているので、Trem14 KOマウスにLPSを投与し、LPSショックへの感受性を検討した。その結果、生死に関してはWTのそれと有意な差が認められなかったが、血中サイトカインレベルはKOマウスの方が高い傾向が認められた。また、KBxNマウス由来血清の投与による関節炎モデルを行ったところ、関節の腫脹がcontrolと比べてひどくなる傾向が観察された。このように、Trem14が炎症応答において、負に作用している可能性が示唆されたが、その関与は、炎症に対して強力に抑制するのではなく、fine tuning的に働いている可能性が示唆された。 さらに、Trem14とヒトIgG Fc領域との融合タンパク質を用いて、pull down assayを行った結果、多くのタンパク質との結合が認められた。
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