Occludinの発現による微絨毛形成の変化をoccludin欠損マウス肝細胞株と野生型マウス肝細胞株の比較検討した結果、occludinは微絨毛関連分子(ezrin、radixin、moesin、EBP-50)の発現量ではなくリン酸化を制御することにより、その局在を変化させることで微絨毛形成に関与している可能性があると考えられた。 このリン酸化にかかわる領域を特定する目的で、野生型occludin発現ベクターとともに、occludinの機能を実行する上で必須の領域と推定されるC末側の細胞質ドメインを様々な程度に欠いた欠損型occludin発現ベクターを導入した細胞株を用い、occludinにおける微絨毛形成にかかわる責任領域の同定を試みた。走査電子顕微鏡による観察上、本来微絨毛形成の弱いマウス悪性黒色腫細胞株に、C末側の細胞質ドメインを様々な程度に欠いた欠損型occludin発現ベクターを導入しても微絨毛の形成は変化しないが、C末側の細胞質ドメインのみを導入した場合、野生型occludin発現ベクターと同様に微絨毛の形成が増加した。このとき微絨毛関連分子の発現量に変化はなく、C末側の細胞質ドメインのみを導入した場合、リン酸化の増加傾向が見られた。 以上から、上皮における微絨毛形成にはoccludinのC末側の細胞質ドメインを介した微絨毛関連分子のリン酸化が関与していると考えられた。
|