研究概要 |
<死細胞貪食に関与する細胞集団の特定> 脾臓において、死細胞はCD8α^+樹状細胞により貪食処理される。我々は、投与する死細胞の数を増やしてもCD8α^+樹状細胞のうちたかだか半分しか死細胞を貪食できないことを見出した。このことからCD8α^+樹状細胞の中にも死細胞を貪食できる細胞と、貪食できない細胞とが存在するものと考えた。そこで、死細胞投与マウスよりCD8α^+樹状細胞を分取し、さらに死細胞を貪食した細胞と、貪食していない細胞を分離し、それぞれのmRNA発現量をmicroarray法により比較した。その結果、死細胞貪食細胞にはCD103およびCD207が高発現していることが分かった。フローサイトメーターによる解析により、CD8α^+樹状細胞のうち約半分がCD103およびCD207を発現しており、このCD8α^+, CD103^+,CD207^+樹状細胞が選択的に死細胞を貪食していることを明らかにした。また、マウスに尾静脈よりcytochrome Cを投与することにより、in vivoにおいてこのCD8α^+, CD103^+, CD207^+樹状細胞が選択的に欠損することを見出した。CD8α^+, CD103^+, CD207^+樹状細胞を欠損させたマウスでは、死細胞貪食が起こらず、それに伴う免疫寛容誘導も起こらないことが明らかとなった。これまでは死細胞貪食およびそれに伴う免疫寛容誘導はCD8α^+樹状細胞が行っていると考えられてきたが、今回の我々の結果より、CD8α^+樹状細胞の中でも特にCD103^+, CD207^+の細胞がこれらの役割を行っていることが明らかとなった。
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