• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2009 年度 実績報告書

細胞遺伝子治療を目指した骨格筋分化誘導システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 20790317
研究機関国立精神・神経センター神経研究所

研究代表者

笠原 優子  独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所遺伝子疾患治療研究部, 外来研究員 (90391911)

キーワード細胞移植 / 骨格筋 / 間葉系幹細胞 / 筋分化 / 筋ジストロフィー / 骨格筋分化誘導因子 / モデル動物
研究概要

本研究課題では、骨髄間葉系幹細胞(Multipotent mesehchymal stromal cells : MSCs)の筋分化能を利用して、重症の遺伝性筋疾患であるDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)に対する細胞遺伝子治療への応用の可能性を検討した。当研究では、MSCsの骨格筋分化誘導の簡便な方法を確立し、続いてDMDモデルマウスおよびイヌへの移植実験においてMSCsの生着能、筋分化能の検討を行った。
イヌの骨髄細胞より増殖力旺盛なCD271陽性分画を回収し、移植に十分な細胞数を調整した。MSCsに筋分化誘導スイッチとしてMyoDを一過性強制発現することにより、従来法に比べて短期間で簡便な筋分化誘導方法を確立した。次に、MyoDによるMSCsの筋分化誘導能を利用して、マウスへの局所的移植を行ったところ、筋組織において移植細胞の生着が認められた。そこでこの移植条件を基に、イヌへの同種移植を試みた。移植効率を上げるため、dog leukocyte antigen (DLA)の合致したペアより得られた個体間でドナーとレシピエントを選出した。正常犬由来MSCsをレシピエント犬の前肢および後肢に局所移植したところ、移植領域に3ヶ月間にわたりMSCsが生存・生着していることが確認できた。生着したMSCsは筋線維様の形態を示しており、筋分化マーカーの発現を認めたため、筋再生過程であることが示唆された。さらに、大腿動脈を介した投与を行うことにより、局所投与と比較して、より広範囲な生着が認められた。DMD患犬では免疫抑制剤による副作用が懸念されるため、免疫抑制剤を使用せずに移植実験を行ったが、DLAを一致させることにより、長期間に渡り移植細胞の生着が可能であり、生着後は筋線維様の形態を示した。
以上の研究結果より、MSCsの筋分化能を利用したDMDに対する移植の可能性が示された。この成果を基に、さらに将来的にはDMD患者自身のMSCsに治療遺伝子を導入することで自家移植の系へ発展する可能性が示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Scalable Purification of Adeno-associated Vims Serotype 1 (AAV1) and AAV8 Vectors, Using Dual Ion-Exchange Adsorptive Membranes.2009

    • 著者名/発表者名
      Takashi Okada, et. al.
    • 雑誌名

      Human Gene Therapy 20

      ページ: 1013-1021

    • 査読あり
  • [学会発表] 9型AAVベクターを用いた筋ジストロフィー犬胎児・新生児への遺伝子導入2009

    • 著者名/発表者名
      武田伸一
    • 学会等名
      厚生労働省精神・神経疾患研究委託費筋ジストロフィーに対する治療研究を臨床に展開するための統括的研究会
    • 発表場所
      都市センターホテル/東京
    • 年月日
      2009-12-04
  • [学会発表] 9型AAVベクターを用いた筋ジストロフィー犬胎児・新生児への遺伝子導入2009

    • 著者名/発表者名
      喜納裕美
    • 学会等名
      第4回筋ジストロフィー研究合同発表会
    • 発表場所
      倉敷由加温泉ホテル桃花/岡山県
    • 年月日
      2009-10-31
  • [学会発表] MyoD発現アデノウイルスベクターによる骨髄問葉系幹細胞の骨格筋分化誘導と細胞移植治療2009

    • 著者名/発表者名
      笠原(仁田原)優子
    • 学会等名
      第57回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      都市センターホテル/東京都
    • 年月日
      2009-10-25
  • [学会発表] AAVベクターを用いた筋ジストロフィーに対する遺伝子治療2009

    • 著者名/発表者名
      岡田尚巳
    • 学会等名
      日本人類遺伝学会第54回大会
    • 発表場所
      グランドプリンスホテル高輪/東京都
    • 年月日
      2009-09-24
  • [学会発表] Cell therapeutic approach to duchenne muscular dystrophy using myogenic differentiation of multipotent mesencymal stromal cells in dog.2009

    • 著者名/発表者名
      Yuko Nitahara-Kasahara
    • 学会等名
      Japan Society of Gene Therapy Annual Meeting
    • 発表場所
      大阪大学/大阪府
    • 年月日
      2009-07-11

URL: 

公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi