研究課題
細胞融合は骨、筋肉、胎盤の発生過程において重要な役割を果たすだけでなくウイルス感染や癌化メカニズム、組織の再生などにも関与することが知られている。しかしながらそのメカニズムに関しては不明瞭な部分が多い。これまでに我々は細胞融合のモデル細胞である絨毛癌由来細胞BeWoを用いてリン酸化特異的なプロテオーム解析を行いカルポニン3(CNN3)が細胞融合を制御しうる分子であることを見いだしてきた。カルポニンファミリーはアクチン結合性のリン酸化タンパクであり細胞骨格系を制御することが知られている。そこで我々はCNN3のリン酸化部位の同定を試み、少なくとも3カ所存在するリン酸化部位のうちの二カ所に対して抗リン酸化抗体(phospho-S293, phospho-S296)の作成と解析を行った。BeWo細胞ではトータルのCNN3リン酸化レベルはそれほど大きな変化が無かったにもかかわらず局所的な二カ所のリン酸化レベルはフォルスコリン処理時間に伴って低下していくことが明らかとなった。このことは細胞融合に伴いCNN3の等電点がアルカリ側にシフトしていた事と一致している。またCNN3はトロホブラストと同様にマイオブラストの細胞融合も制御していた為、マウス筋芽細胞C2C12を用いて分化に伴うCNN3のリン酸化レベルの変化を解析したところ、トロホブラストとは反対に分化誘導3-5日目でCNN3のリン酸化レベルが最大値に上昇し、その後減少していくことを見いだした。これらのことからBeWo細胞とC2C12細胞においてCNN3のリン酸化を介して異なる制御機構が存在することが考えられる。
すべて 2008
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Biosci Biotechnol Biochem 72
ページ: 1564-1567
J Bio Chem 283
ページ: 33036-33045