研究概要 |
腸管寄生性原虫赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)の貪食は重要な病原機構であるが、その分子レベルでの理解は不十分である。我々はフォスファチジルイノシトール3リン酸(PI3P)が貪食胞へ速やかに動員されることを見出している。ゲノムデータベースから見出されたPI3P結合ドメイン(FYVEドメイン)を持つ12のタンパク質EhFP (E. histolytica FYVE domain-containing proteins)のうち、特にRhoGEFドメインをもつ11のEhFP1〜11に注目した。まず動物細胞貪食時に貪食胞に局在が見られたEhFP4について基質となるRac分子の特定を行った。マイクロアレイデータから24あるRac遺伝子のうち10の最も転写されている分子を選びEhFP4との結合をin vitroで検討したところ、4タンパク質[I08.m00133 (EhRacC), 16.m00303 (EhRacD), 87.m00159, and 46.m00231]が結合することが明らかとなった。またEhFP4の脂質結合特異性を検討したところ全長ではPI4Pに結合し、FYVEドメイン以下の欠失変異体でPI4Pへの結合は失われた。以上よりEhFP4が脂質シグナルに依存してRhoGEF活性を示すことが示唆された。現在投稿論文を準備中である。
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