研究概要 |
phosphoinositides [PtdIns]の寄生性原虫の貪食過程における役割を知るため、phosphatidylinositol-3-phosphate [PtdIns(3)P]とPtdIns-P結合タンパク質と考えられる分子の結合を腸管寄生性原虫赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)で明らかにした。以前に示されているように、貪食は赤痢アメーバの病原因子でありPtdIns 3-kinase阻害剤で阻害される。我々は動画撮影により貪食開始時にPtdIns(3)PのマーカーであるGFP-Hrs-FYVEがphagocytic cup、貪食胞、細胞膜と貪食胞をつなぐ細い管上の構造へ動員されることを示した。赤痢アメーバには12のFYVEドメインタンパク質(EhFP1-12)があり、11はEhoGEF/DHドメインを持っていた。そのうちEhFP4が管上の構造と細胞膜側の貪食胞上へ動員された。さらにEhFP4は10の高発現しているRho/Rac低分子量GTPaseのうち4分子と結合した。リン脂質との結合特異性を検討したところ、EhFP4はC-末端領域を介してPtdIns(4)Pと結合し、FYVEドメインはその結合特異性を制御すると考えられた。EhFP4のFYVEドメインの高発現により貪食は阻害されたが、Hrs-FYVEの高発現で貪食は促進された。以上より、PtdIns(3)P、PtdIns(4)PとEhFP4が協調してこの寄生性原虫の貪食を制御していることが示された。以上の結果はCellular Microbiology, 11 : 1471-91(2009)に発表された。
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