研究課題
マラリアは未だに世界で最も猛威を振るう感染症のひとつである。しかし有効なワクチンの作成には誰も成功していない。我々はマラリア原虫の粗抽出液を使ってWhole parasite vaccineとして有効であることを示し、その効果がトル様受容体9 (Toll-like receptor (TLR) 9)を介したアジュバント効果によることを世界で始めて証明した。そしてそのアジュバント因子が、マラリア原虫が赤血球のヘモグロビンを消費した後にヘムの代謝産物として生成する、ヘモゾイン(Hemozoin (HZ)、ヘムの2量体のポリマーで、nm-μmサイズの結晶体。マラリア毒素(Malaria toxin)ともいう)であること、ヘモゾインがTLR9に特異的に結合し、TLR9タンパクの高次構造を変化させることも世界で始めて示した。NMR解析によりTLR9リガンドであるCpGDNA(免疫賦活化作用のある一本鎖オリゴ核酸)とヘモゾインはTLR9のシステイン、ヒスチジンを介して結合していることが判明した。さらに、合成のヘモゾインも作成し、20-200nmのサイズのヘモゾインが最もアジュバント効果が高く、実際にイヌのアレルギーワクチンのアジュバントとしてその効果を証明した。これらの知見は、Cell姉妹紙のCell Host and Microbe 2010年1月号に「Featured Article」として掲載され、マラリアワクチンの開発研究に貢献するのみならず、アジュバント全体の作用機序、TLRなどの自然免疫受容体のリガンド認識機構に深く迫るものとして注目される。(実際、論文は同じ号のPreviewで紹介され、Faculty of 1000 BiologyでMust read論文として紹介された。
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Cell Host Microbe. 7
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Euro. J.Immunol. 40
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http://www.ifrec.osaka-u.ac..jp/index.php