研究概要 |
病原性グラム陰性細菌の病原性との関連性が示唆されている新規グラム陰性細菌タンパク質分泌装置である6型タンパク質分泌機構(Type VI secretion system,T6SS)について、そのタンパク質分泌メカニズムやどのような病原因子が分泌されているかを明らかにすることを目的とし、研究をおこなった。我々の研究室では腸炎ビブリオの全ゲノム配列を同定しており、その染色体上に2組のT6SS関連遺伝子群が存在することが、Pukatzkiらの報告等(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103,1528-1533,2006)から、明らかとなっている。そこで腸炎ビブリオのT6SS関連遺伝子群領域にあるT6SSのエネルギー供与タンパク質であるATPaseと4型タンパク質分泌装置の構成タンパク質の一つであるIcmFのhomologueをコードする遺伝子あるいはそれら遺伝子の近傍に保存されているT6SS関連遺伝子群と予想される機能未知の領域全ての欠損をR6K oriとsacB遺伝子をコードするsuicide vectorを用いた相同組み換えによっておこない、一連のT6SS遺伝子欠損株を作製した。得られた遺伝子欠損株と野生型株の分泌タンパク質プロファイルを二次元電気泳動によって比較し、どのタンパク質がT6SS依存的に分泌されているかどうかを現在検討している。また平行してT6SSによるタンパク質分泌のマーカーとなるHcpに対する抗体を、大腸菌で発現させたHcp組み換えタンパク質をウサギに免疫することで作製し、この抗体を用いてT6SS依存的タンパク質分泌がどのような培養条件(温度、培地組成、pH、培養時間等)でおこなわれているかを検討した。
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