Toll-like receptor(TLR)は、細菌の様々な菌体成分を認識し、炎症反応を誘導する。TLR1からTLR11までが報告されているが、TLR10はいまだにそのリガンドや機能が明らかとなっていない。前年度までの研究からTLR10はMycoplasmaのリポプロテインを認識し、リポプロテインがTLR2を介して誘導する炎症誘導を阻害することが示唆された。本年度は昨年度に引き続きTLR10の機能を解析するためにsiRNAによるノックダウンを試みたが、THP-1細胞においてTLR10をノックダウンするに至らなかった。またリポプロテインとTLR10の結合を表面プラズモン共鳴センサーで測定するためにFLAGタグをつけたTLR10を発現させたが、解析に必要な十分な収量を得ることが出来なかった。 Mycoplasma pneumoniaeはヒトに肺炎を起こす細菌である。前年度の研究からM. pneumoniaeの接着がTLR2非依存的な経路でTNF-αやIL-1βを誘導することが明らかとなったため、TLR10の関与を検討した。しかしながら、M. pneumoniaeの接着が誘導する炎症誘導はTLR10非依存的であった。我々はこの接着による炎症誘導が、ATPとP2X7receptorに依存的であることを見出し、Immunologyに発表した。
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